詩『霊長類』

愛しさや哀しみを持つことが人間である証拠だと、誰かが言い出したのなら、それを持たない人間はただの生物なのだろうか。

霊長類である以前に哺乳類でもないかもしれない。そんな言い訳がまかり通るなら、いっそ、ぼくはきみを愛さないようにした方が良いのだろう。

誰かを愛して、哀しむことができるのは、子供が大人になった証拠ではないし、成人式で自動的にアップデートされるわけでもない。

ぼくはきみを幸せにしたい理由で、愛しく想い、哀しみを湛えるのではない。きみを不幸にするなんてもっての他だ。ぼくは真っ直ぐに、心の底からきみを愛して、破滅してもいいから、きみの哀しみを受けとめる覚悟でいるよ。

ぼくがきみにできる唯一の愛し方、そこには哀しみが存在して、ぼくときみの運命を誰にも邪魔をさせない絆。

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青冰月鯉の詩

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